【解説】結婚ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の在留期間と更新手続きについて

日本で生活する外国人配偶者のための在留資格「日本人の配偶者等」。この在留資格で日本に滞在できる期間(在留期間)や、その更新手続きについて、分かりやすく解説します。

1.在留期間の種類は?

「日本人の配偶者等」の在留資格で与えられる期間は、**「5年」「3年」「1年」「6ヶ月」**のいずれかです。この期間は、入国管理局の審査によって個々の状況に応じて決定されます。

2.在留期間はどのように決まるの?

在留期間の長さは、主に以下の点が審査され、総合的に判断されます。

  • 経済的な安定性
    • 日本人配偶者の収入状況が重視されます。収入が多ければ良いというわけではなく、安定して継続した収入があるかがポイントです。
    • 勤務先の規模や勤続年数なども、安定性を判断する上で考慮されます。
  • 夫婦関係の実態
    • 夫婦としての実質的な結婚生活が送られているかが重要です。例えば、正当な理由なく外国人配偶者が頻繁に母国へ帰国していたり、長期間別居しているなどの状況が確認されると、在留期間が短くなる、あるいは許可自体が難しくなることもあります。
    • 夫婦の間に子どもがいる場合は、家族としての安定性が高いと判断され、長い在留期間が許可されやすくなる傾向があります。
  • 結婚後の状況による違い
    • 海外で長期間夫婦として生活してきた後に日本で暮らす場合:初回の申請でも「3年」の在留期間が許可されることがあります。
    • 結婚して間もない夫婦の場合:最初は「1年」の在留期間となることが一般的です。その後、1回目の更新でも「1年」、問題がなければその次の更新で「3年」となるケースが多く見られます。
    • 生活を支える収入が少ない場合:状況によっては、毎年「1年」の更新となることもあります。

順調に在留期間を更新し、生活の安定性が証明されれば、3年の在留期間を得た後に「5年」の期間が許可される可能性も高まります。また、一定の要件を満たせば永住許可申請を検討することも可能です。

3.在留期間の更新手続きはいつからできる?

在留期間の更新申請は、在留期間の満了日の3ヶ月前から受け付けが開始されます。

  • 早めに申請しても損はない!: 早く申請して許可が出た場合でも、次回の在留期間の満了日が前倒しになることはありません。現在の在留期間満了日の翌日から、新しい在留期間がスタートするように調整されます。
  • 特別な事情がある場合: 出産や家族の看病などで外国人配偶者が長期間日本を離れる必要がある場合は、その理由を記した書類を提出することで、3ヶ月よりも早く申請が受理されることもあります。
  • 申請が満了日間際になったら?: 万が一、在留期間の満了日までに更新の許可が出なかった場合でも、申請が受理されていれば、満了日から2ヶ月間は「特例期間」として合法的に日本に滞在できます。この特例期間中に、入国管理局から更新の可否についての結果が通知されます。

4.更新にかかる審査期間はどのくらい?

在留期間更新の審査にかかる時間は、状況によって異なります。

  • 比較的スムーズな場合(2週間~3週間程度): 日本人配偶者の勤務先が前回の申請時から変わっていないなど、大きな変更がない場合は、比較的早く許可が出る傾向があります。
  • 時間がかかる場合(1ヶ月以上): 日本人配偶者が転職した場合や、退職して就職活動中である場合などは、審査に時間を要することがあります。転職した場合は、新しい勤務先の情報や安定性を証明する書類が必要になります。状況を説明する理由書などの提出も求められることがあります。 注意点:可能であれば、在留期間更新の申請時期と転職のタイミングが重ならないように調整することをおすすめします。
  • その他: 入国管理局の繁忙期(例:春先の異動シーズンなど)は、申請件数が増えるため、全体的に審査期間が長くなることがあります。 なお、行政が定める標準的な処理期間としては、在留期間更新許可申請の場合は「申請から3ヶ月以内」とされています。

5.配偶者の出産と更新時期が重なった場合のポイント

結婚後すぐに来日し、在留期間「1年」で滞在している外国人配偶者の場合、最初の在留期間更新の時期と出産時期が重なることは少なくありません。この場合、申請のタイミングによって、次に許可される在留期間が長くなる可能性があります。

  • 出産後に更新申請をするのがおすすめ!
    • 出産予定日が在留期間満了日の2週間程度前までであれば、出産後に申請する方が良いでしょう。
    • 理由:出産後、お子さんの名前が記載された日本人配偶者の戸籍謄本を提出することで、家族としての結びつきがより明確になり、在留期間が「3年」になる可能性が高まります。
  • 出産前に更新申請をする場合
    • 在留期間満了日よりも後に出産予定日の場合は、出産予定日が記載された医師の診断書を添付して申請します。この場合でも「3年」の期間が許可される可能性はありますが、出産後の申請に比べると「1年」となることもあります。
  • 審査中に出産した場合: 更新申請の審査中に早産などで出産した場合は、速やかに出生届の記載事項証明書などを入国管理局に追加提出することで、「3年」の在留期間が得られる可能性が高まります。

覚えておきたいポイント

  • 出産後に申請する方が、在留期間「3年」を得やすい傾向にあります。
  • 出産前に申請すると、在留期間「1年」となる可能性も考慮しておきましょう。

この情報が、皆さまの結婚ビザに関する疑問解消の一助となれば幸いです。詳細や個別のケースについては、必ず出入国在留管理庁の公式情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。